講座報告
2021年7月17日(土)9:30~17:40/2021年7月18日(日)9:35~16:40
1日目:豊田市下山交流館、各フィールド / 2日目:惣田BASE、敷島会館
目的/ねらい
1) 地域にある森林の姿を知る。生態系・環境・生活資源・ビジネス・精神文化まで多面的にヒトのくらしに深くかかわる森林と林業の歴史や実態を理解し、これからの人と森林とのかかわり方を考える。
2) 実際に木に触れることで、その重さや硬さを体感する。伐倒から玉切り、搬出、薪割りまでの一連の工程を体験する。
   1日目  2日目
午前 前回講座の質疑応答
  講師:駒宮博男

レクチャー「豊田市の森」
  ゲスト講師:丹羽健司さん

レクチャー「森林とその利用」
  講師:渋澤寿一
惣田町内会長三宅さん挨拶
津島神社参拝

レクチャー「旭木の駅プロジェクト」
  ゲスト講師:高山治朗さん

フィールドワーク「木材の利用体験」
  指導:矢作川水系森林ボランティア
     卒塾生のみなさん
午後 フィールドワーク
 ・足助地区御内町「足助きこり塾」
  下山地区羽布町「原田さんの山」
 ・足助地区御内町田ノ士里、本郷、金蔵連
  「Gonzore Trail」
トークセッション「森林と矢作川水系」
  ゲスト講師:近藤朗さん、洲崎燈子さん

グループトーク「これからの森・川・海・自然環境と自分との関係性について」
全体共有

資料 【丹羽さん】2021豊森レク.pdf 【渋澤さん】豊森林業2021圧縮.pdf
【高山さん】第2回講座旭木の駅PJT圧縮.pdf 【近藤朗氏】2021.7.18 川から森へ~流域を考える圧縮.pdf
1日目:19名(オブザーバー参加2名含)/2日目:17名

第2回講座「地域を知り、地域に学ぶ~森林」

梅雨空を見上げつつ、てるてる坊主を作りつつ迎えた一日目は、梅雨明け発表当日となりました!バンザ~イ!

■講座1日目
講座のスタートは豊森でも恒例になってきた駒宮さんによる第1回講座の質疑応答から。ここで少し、娑婆から豊森へ切り替える頭の準備体操です。

駒宮質疑応答.JPG

続いて交流と学習を通じて、 都市と山村の住民に科学的な森づくりの手法と楽しさを伝える取組 『森の健康診断』や『旭木の駅プロジェクト』、『足助きこり塾』などの活動を立ち上げた丹羽健司さんのレクチャーです。 

丹羽さん.JPG

『森の健康診断』は2000年の東海豪雨で山崩れが相次いだのをきっかけに、 人工林の状態を明らかにしようと、 2005年からボランテ ィ ア団体を中心に豊田市で始められ、 幅広い市民が森の大切さや現状を、 正しく理解する活動として全国に広が っ ています。 地域課題を自分ごととして取り組んでいくそれぞれの活動の立ち上げから普及に至る過程で、丹羽さんの人間力で周囲を巻き込んでいく様子、とにかく「楽しくないと続かない」とのお話は、塾生の心にダイレクトに届くもので、塾生からは「現地現物で信念を行動に変える方のお話を聞けたことはとても良い経験になった」と実践者への敬意と感動の感想が多く聞かれました。

次に、ようやく東京から講座に出席が叶った渋澤さんのレクチャー「森林とその利用」。間伐などひとびとの手によって「光の調整」という管理をした里山が、戦後の植林政策やエネルギー革命を経て、「森・川・海」の循環とも切り離されていった過程を学び、この後のフィールドワークで大切な視点についてお聴きしました。塾生からは「やっと渋澤さんにお逢いできて感無量」「日本人が神まで含めた循環の価値観を作ってきたことはとても興味深く感じた」「里山は多様性にとんだ生息環境を、人が整え、提供しているんだということを知り、こんな貢献のしかたがあったんだと気づかせてもらった。里山がいかに自然と共生し奥深いかを理解できた。」との感想がきかれました。

渋澤さんレク.JPG

午後からは下山チームと足助チームとに分かれ、実際に森林とともに生きてきた地域の皆さんにお話をお伺いしました。


■フィールドワーク(下山チーム)
下山チームは猛暑と連日の大雨の影響が心配だったフィールドワーク先を一部変更し、最初に御内町の「足助きこり塾」をフィールドに、丹羽健司さんにご案内いただきました。
森の丹羽さん.JPG

短い時間ながら「森の健康診断」体験をし、実際にいまいる森林がどれくらい過密でどれくらいの間伐が必要なのか、数値的に体感する経験となりました。思ってた以上に、木と木との適正な距離は広くとらなくちゃいけない事を知りました。

森健体験.jpg

その後、下山地区羽布町に移動し、林業家=原田安太郎さんの森林でフィールドワーク。

安太郎さんの森林.jpgのサムネイル画像

「ここの山は結婚記念に買い足し、妻と2人で新婚旅行代わりに植林した山。」「ここの山は斜面がきつくて作業が大変なんだ」。林道沿いに原田さんの山林を見学した後は、羽布集会所を会場に、林業を通した人生をユーモアを交えて語ってくださる原田さんのお話をお伺いしました。

安太郎さんのお話.jpg

「原田さんのような方は本当に地球にとって大切な存在だと思います。無念な気持ちが伝わってきました。なんとかお元気なうちにこの状況を変えられないかな、私たち世代が変えていかないと、と思いました。何ができるか考え続けていきたいです。」塾生からは原田さんの真摯な後ろ姿への尊敬と、森林の問題を自分ごととしてみる感想がたくさん聞かれました。


■フィールドワーク(足助チーム)
足助チームが訪れたのは足助地区御内町。田ノ士里、本郷、金蔵連の各集落と森林を「あるく・みる・きく」フィールドワーク。

宮條喬自治区長sann.JPG

自治区長の宮條喬(たかし)さんに地域の歴史とくらしについてお伺いしました。

鼎館.JPG

途中、旧御内小学校を改修した御内集会所「鼎館」にて、貴重な記録写真をもとに地域の習俗のお話を伺うことができました。

藤澤祐作さん.JPG

お子さんが生まれた時に、「自分が育ったところで子育てするのが自然なこと」と感じた藤澤祐作さんは、地元に戻られたとのこと。
「森林を語ることは、人々のくらしを語ること」
「自分が、地域の全員を見送る役割だ」
集落で生きる覚悟を語る藤澤さんの言葉ひとつひとつが、塾生に思考を促しました。

藤澤あやさん.JPG

フィールドワークの最後に、藤澤さんご夫妻が地域の皆さんの憩いの場に、と休日に手を入れて創り上げた「Gonzore Trail」 へ入らせていただきました。椅子や敷物、本など塾生それぞれがあらかじめ準備して、林間の「場」を「個」として五感で感じる時間を過ごしました。

林間の時間.JPG

渓流の水音、鳥の囀り、蜩の声、風が揺らす葉音、土と幹の匂い、腐葉土の踏み応え。。。特別な時間の後は、藤澤さんにコーヒーを淹れていただき、この特別な空気感とともに味わいました。

DSC00930.jpg

※Gonzore Trail はヒトと森とをつなぐ活動を随時企画されています。是非、今後もFB、Instagramなどで情報をチェックしてみてくださいね!

くらしは生き方そのもの。地域はそこで生きてきた先人から受け継ぐ歴史と文化そのもの。国策の中で衰退する林業と地域の暮らし。きれいごとだけじゃない森林に、私たちはどう関わり、何ができるのか。視点と関心とを持ち、考え続けたい。


**************************************

■講座2日目
2日目は、旭地区惣田町で森林ボランティアをしている「とよた旭七森会」が豊田市の「空き家バンク」を通じて活動の拠点として借りている古民家=「惣田BASE」を会場とさせていただきました。
まずは惣田町の氏神様である津島神社へ参拝させていただき、お世話になる町内会長の三宅貞夫さんにご挨拶いただきました。

惣田町内会長三宅貞夫さん.JPG

津島神社礼拝.JPG

今日の最初のプログラムでは、旭地区太田町の高山治朗さんから「旭木の駅プロジェクト」の立ち上げからこれまでの活動を、たくさんのエピソードを交えてお話いただきました。昨日の丹羽健司さん同様、「チェーンソーと軽トラで晩酌を」を合言葉に「楽しくないと続かない」を基本に活動を続けてこられたお話は、どんな仕事・活動にも参考になるお話です。

高山さんレク2.JPG

それにしても、高山さんのお話は面白くて引き込まれます!「時間が足りなかった」「もっとお話を聴きたかった」との感想多数。スタッフはこの反省を次の講座へ活かします!
続いて、惣田町を拠点に森林ボランティアをされてる袋真司さん(第3期生、とよた旭七森会)・栗山貴好さん(第6期生、同会)はじめ卒塾生の皆さんや矢作川水系森林ボランティア協議会の仲間の皆さんのサポートで、薪割りやチェーンソーを使っての玉切りも体験させて頂きました。

初めてのチェーンソー2.JPG

薪割り体験2.JPG

その後は実際に山に入り、チェーンソーとロープを使用した引き倒しで伐倒の振動や手ごたえ、森に差す光を体感しました。

DSC01239.JPG

伐倒体験.JPG

午後からは、森と深いかかわりのある川について、近藤朗さん(愛知・川の会事務局長))と洲崎燈子さん(矢作川研究所主任研究員)からお話を伺いました。

近藤&洲崎レク.JPG

近藤さん.JPG

近藤さんは2歳で体験した伊勢湾台風に始まり、県職員として矢作川流域整備に関わってきたご経験から、森林と切っても切れない河川の歴史的な役割についてお話しくださいました。

水運が物資の輸送の大動脈だったので、代替の鉄道やトラック輸送ができるまではダム(発電目的)は建設できなかった。しかしダムによる河川の分断が流域環境の悪化を招くことに。矢作川は全国的にも先進的な取り組みとして、行政・市民・漁協・研究者・森林組合などが多層的に流域連携し、矢作川沿岸水質保全対策協議会を設立したことを紹介し、47災害・元年災・東海豪雨を目の当たりにしたこと、公共事業に始めて市民が反対運動をした九州の「蜂の巣闘争」に触れ、「公共事業は理に叶い、法に叶い、情に叶わなければならない」という言葉を紹介してくれました。

「私が川について皆さんに伝えたいのは2点。営みという視点でくらしを感じて流域を見ること。その営みを健全なものにするために、自分が何ができるかという担い手の意識をもつことです」

洲崎さん.JPG

洲崎さんは「山・川・海のつながりを感じてほしい。トヨタ自動車は矢作川なくして発展はなかった。日本は蛇口をひねれば飲用水が出てくる世界的にも珍しい国だ。その蛇口の先には川があり、森林がある。そして排水溝の先には海があることを忘れないでほしい。」と語り、24年前に東京から矢作川にご縁をいただいた経緯をお話されました。「東京のコンクリート三面張りの川しか知らなかった私には、美しく生物多様性にあふれた矢作川との出逢いは感動だった。また、矢作川水系には渋澤塾長はじめすごく魅力的で面白い人たちが吸い寄せられる力がある。流域を守ろうとした先人たちの魅力に学んで、若い人たちが担い手となって活動を受け継いでいってほしい」と結びました。

近藤さん・洲崎さんが編纂に参加した矢作川流域圏懇談会の『10年誌』はこちらのサイトから全文を読むことができます。

敷島GW渋澤.jpg

最後に、グループワークで出た感想をみんなで分かち合って2日間を終え、何かあたたかいものが育ち始めているように感じました。
ご参加くださいました皆様、ご協力くださった講師や地域の皆様、卒塾生の皆さまに、心より感謝いたします。 次回8月は、食と農をテーマに開催予定です。 また皆さんにお会いできるのを楽しみにしております♪

スタッフ戸田・松本


« R3第10期豊森なりわい塾入塾式・第1回講座

8/22(日) 補講「食と農」 »

カテゴリ