講座報告
2015年1月17日(土)10:00~16:45/2015年1月18日(日)10:00~16:30
豊田市生涯学習センター・旭交流館
目的/ねらい
1)「食と農」「森林」「エネルギー」「公共サービス」と続けてきた地域資源を考える回の総まとめとして、現状の地域経済の構造を概観する。非貨幣価値について考える中で、お金とは何か、お金のバーチャル性について塾生に気づいてもらう。
2)カジノ的グローバル経済に対し、生存経済をいかに守るかという観点から、農山村と都市の関係性について考える。
3)一年間の豊森での学びを総括し、あらためて今後の社会のかたち、生き方のかたちについて塾生に考えてもらう。
4)来月の修了レポート発表に向け、塾生同士
   1日目  2日目
午前 レクチャー「貨幣経済、地域経済」 レクチャー「未来のための江戸の暮らし」
修了レポート作成ワーク
午後 修了レポート作成ワーク
レクチャー「新しい経済は可能か(これからの社会のカタチを求めて)」
修了レポート作成ワーク
二日間の感想共有

資料 貨幣経済・地域経済(駒宮博男).pdf 新しい経済は可能か(駒宮博男).pdf
未来のための江戸時代(澁澤寿一).pdf
1日目:28名 /2日目:28名

1月17日と18日、第四期豊森なりわい塾・第9回講座を行いました。

一年で一番寒い時期です。
記録的大雪だった昨年2月までとはいきませんが、雪が舞う心配がありました。
しかし、やはり街中でやるよりも、山の空気を吸いながら講座をやるべきでしょう。
というわけで旭交流館をお借りして講座を開催しました。
心配だった天気は一時みぞれが降った程度で、無事、講座を終えることができました。





今回の二日間は、重なり合う3つのテーマで講座を行いました。
1つめは「経済と地域」、2つめは「これからの幸福論」、
そして3つめは「修了レポート作成のためのワーク」です。


まず初日の午前中は「経済と地域」ということで、
豊森講師・駒宮博男のレクチャです。



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これまでの講座で、森林、エネルギー、農、公共サービスと、地域資源をテーマ別に扱って考えてきましたが、総括的にとらえるとどのように見えてくるのか。
まずは地域と経済の関係を語る前に、そもそも貨幣とは何か、また、そもそも経済活動とはどのような歴史的経緯を辿って、
現在のカジノ的グローバル資本主義経済に至っているのかを確認しました。

その上で、現在の地域の経済がどういう構造になっているのか、
現状のお金の流れ、モノの流れ、税金の流れについて塾生に知っていただきました。
そして、地域資源を用いた理想的な就労はどのようなものか、
駒宮さんなりの案を示していただきました。



お金について考える話だということもあってか、
塾生から積極的に質問が飛び交い、1時間ほど質疑になりました。





午後からは、「修了レポート作成のためのワーク」を行いました。
来月が修了レポートの発表会です。これまでの講座を振り返り、自分自身を振り返り、
フィールドワークで触れ合った方のことを思い出し、
いったい何を得たのか、どんな気付きがあったのか、どんな悩みや迷いに出会ったか。
それぞれがこの第四期と自分を振り返り、いまの自分の思いを共有しあう場にしました。



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3人1組で、30分間話し合ったら別のメンバーでまた3人1組・・・と繰り返しましたが、
30分というのは、ちょっと短かくて話し足りなかったようですね。





初日の最後は、
ふたたび豊森講師の駒宮博男から、ふたたびレクチャーいただきました。
近代の果てに現れた現代社会の表層に出てくる諸問題と、その根本的な歪みは何か。
そして、目指すべき社会のポイントは何だろうか、ということをお話いただきました。

レクチャーの項目は下記のとおりです。(詳細は添付資料をご覧ください。)


 ・制度疲労を起こし始めた近代とは何か(国民国家、産業資本主義、科学技術、個人)
 ・近代の果てに現れた二極社会をどうとらえるか(トマ・ピケティ、ギリシャとスペイン)
 ・過度な競争社会で失われた関係性(ブータンの幸福の定義)
 ・無縁社会と生活困窮者の増大(岐阜県パーソナルサポートセンター事業でわかったこと)
 ・人と人の関係性をさぐる(社会的排除から社会的包摂へ)
 ・世代の関係性はなぜギクシャクするか(世代による生活観の断絶)
 ・まとめ(現代社会の総括)
 ・失われたものを取り戻すために



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二日目の最初は、実行委員長の澁澤寿一より、
「未来のための江戸の暮らし」と題してお話いただきました。
様々な関係性が分断され、地球規模で持続可能でない現代の社会に対し、
国内の資源だけで250年続いた江戸時代についてをお話いただき、
いまの暮らしと照らし合わせて塾生に考えてもらおうというものです。


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まずは江戸のシステムを確認しました。
自然環境が多様に富んでおり、世界的に恵まれていること。
国内という限られた資源をいかに使うかが江戸時代の重要なポイントであり、
江戸という都市の基幹産業は古着屋や修繕屋などのリユース業であったこと。
また、土壌が貧弱な関東ローム層で構成される周辺の農地に江戸の市民の排泄物を運び、農作物と交換するといったような、都市と農山村が一体となった関係性があったこと。

そして、そこに生きていた人たちはどんな人だったのかということを、
外国人たちの手記を集めた渡辺京二さんの『逝きし世の面影』を引きながら、当時撮影された写真を交えてお話いただきました。


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わずか150年前の日本に生きていた人たちと、今を生きる人たちと、まったく異なる精神世界に生きているということが確認できたのではないかと思います。




そして、最後は初日に続いて「修了レポート作成ワーク」です。
初日は「これまで」を振りかえっていただきましたが、二日目は「これから」がテーマです。
各自が設定する「X年後」に向けて、自分は何を大切にしたいのか。
そのために何をやりたいと思うのか。いまの悩みは何か。
といった現時点での率直な思いを、各自が共有しあう場としました。

前日に引き続いて3人1組。今度は1ラウンド40分でみっちり話し合いました。


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二日間の塾生の感想を紹介します。




・駒宮さんのレクチャーの中で、「地域経済を成り立たせるには、外からお金を入れていくだけじゃなくて、地域の中でお金を回して行く」というのがあったが、今まであまり考えていなかったが、大事なことだと思った。


・穴の開いたバケツからこぼれ落ちた人々をもとに戻すようなことを仕事でやっている、と思いはっとした。
生存経済へ返せるようなこと、返す場を作ることをやっていきたいなあ...。


・格差社会と価値観の違いの観点で、オランダから北米までのグラフがあったが、たまたま会社の同期と飲み会をしたときに「幸せってなんだろうね」という話になった。
アメリカに13年くらい住んでいた同期は「やっぱりお金が重要だ」と言っていた。スウェーデン人と国際結婚した友達は、「スウェーデンは福祉が整備されている中で、定時で仕事を終えて、しっかり家事をする生活が幸せ」と言っていた。
幸せ、価値観の定義は自分のバックグラウンドで千差万別。一生これは考え続けていきたいと思った。


・豊森を通じて、自分の立ち位置が一部わかった。サラリーマンしか知らなかったけど、自分の立ち位置が非常に不安定なところにいることがわかった。それに比べたら、農ある生活、半農半Xなどは1つの目指す姿かなと腹に落ちつつある。
「つとめ」についてはまだよく分からないところがあって、町内会の経験がないからかもしれない。
今まで素通りしてきたところ問題が見えつつある、なんとかしないといけない。良い社会めざして具体的なところができたらいいかなと思う。


・受講前の時、漠然とした思いで受講したと話したがモヤモヤ感がすごく増大している。しかし今まで考えてこなかったことを考えて、知ったことも知り得たので、来月の発表では整理をして、こうしなければならない、というより、どうしていったらより自分やみんなが楽しいのかという事を中心に考えたい。


江戸の暮らしの中では個人の工夫で成立していたことが、現在は他人の知恵や技術に乗っかり、便利さや楽しさを与えられる。個人が考えて満足できる社会になると良いと思います。


・澁澤さんのお話、多くの方が感動したとのことでしたが、まったく同感。「さいきんあいさつできてないなあ」と自戒の念にかられていました。
自分の子どもにもあまりちゃんとしつけできていないし、考えさせられました。


・「人」の非効率性は、欠点ではなく魅力である。
不器用でも、人と人が繋がって話をして、笑顔で、新しいことや楽しいことを関係性のなかで作っていけるとよいなあと思います。





第9回講座の報告は以上です。

来月は二日間まるまる、修了レポートの発表会です! 



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